資金繰り改善だけじゃない!ファクタリングがもたらす経営への意外なメリット3選

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こんにちは。中小企業専門ファイナンシャルライターの白石 美咲です。

元ファクタリング会社の審査部門でマネージャーをしていた経験から、多くの経営者様が「ファクタリング=緊急時の資金繰り改善策」とお考えであることを肌で感じてきました。もちろん、それはファクタリングの最も重要な役割の一つです。

しかし、ファクタリングの価値はそれだけにとどまりません。実は、戦略的に活用することで、資金繰りの改善以上に、企業の経営体質そのものを強化する「意外なメリット」が数多く存在するのです。

かつて審査担当者として数千件の契約に携わる中で、「この会社はファクタリングを本当に上手く活用しているな」と感心する企業様が少なからずいらっしゃいました。そうした企業様は、目先の資金繰りだけでなく、その先にある経営全体の最適化を見据えてファクタリングを利用していたのです。

この記事では、元審査担当者の視点から、資金繰り改善という直接的な効果の裏に隠された、ファクタリングがもたらす経営への意外なメリットを3つに厳選して、徹底的に解説します。

  1. 財務体質の劇的な改善(オフバランス化)
  2. 与信管理・回収業務からの解放
  3. 取引先との関係強化とサプライチェーンの安定

「ファクタリングは手数料が高いから、なるべく使いたくない」と感じている経営者様にこそ、ぜひご一読いただきたい内容です。この記事を読み終える頃には、ファクタリングが単なる資金調達手段ではなく、攻めの経営を実現するための戦略的ツールになり得ることが、きっとお分かりいただけるはずです。

メリット1:財務体質の劇的な改善(オフバランス化)

意外なメリットの1つ目は、貸借対照表(バランスシート)をスリム化し、財務指標を劇的に改善する「オフバランス化」の効果です。

「オフバランス」とは、特定の資産や負債を貸借対照表から切り離す会計手法のこと。ファクタリングは、法的には「債権の売買(債権譲渡)」であり、融資(借入)ではありません。そのため、売掛債権という資産をファクタリング会社に売却すると、その資産が貸借対照表から消え、代わりに現金預金が増えることになります。借入金は増えません。

これがなぜ経営に大きなメリットをもたらすのでしょうか。理由は、企業の収益性や安定性を示す重要な経営指標が改善されるからです。

ROA(総資産利益率)の向上

ROA(Return On Asset)は、企業が保有する総資産をどれだけ効率的に使って利益を生み出しているかを示す指標です。計算式は以下の通りです。

ROA(総資産利益率) = 当期純利益 ÷ 総資産 × 100

ROAが高いほど、効率的な経営ができていると評価されます。ファクタリングを利用すると、売掛債権が減少するため「総資産」が圧縮されます。その結果、同じ利益額であってもROAは向上するのです [1]。

【具体例】1,000万円の資金調達を借入とファクタリングで行った場合の比較

勘定科目資金調達前銀行から1,000万円借入1,000万円の売掛債権をファクタリング(手数料5%)
現金預金500万円1,500万円1,450万円
売掛金2,000万円2,000万円1,000万円
総資産2,500万円3,500万円2,450万円
借入金500万円1,500万円500万円
純資産2,000万円2,000万円1,950万円
当期純利益250万円250万円200万円(手数料50万円を費用計上)
ROA10.0%7.1%8.2%

この例では、銀行借入を行うと総資産が増加し、ROAは7.1%に低下します。一方、ファクタリングを利用した場合、手数料(50万円)の分だけ利益は減少しますが、総資産がそれ以上に圧縮されるため、ROAは8.2%となり、資金調達前よりも改善(この例では低下していますが、借入よりは高い)します。これは、金融機関や投資家からの評価を高める上で非常に有利に働きます。

自己資本比率の改善

自己資本比率は、総資産に占める自己資本(純資産)の割合を示す指標で、企業の財務安定性を測る上で最も重視される指標の一つです。

自己資本比率 = 自己資本 ÷ 総資産 × 100

ファクタリングは負債を増やさずに資産を現金化するため、自己資本比率の改善にも繋がります。上記の例で見ても、借入の場合は自己資本比率が57%(2,000万円 ÷ 3,500万円)に低下するのに対し、ファクタリングの場合は79.6%(1,950万円 ÷ 2,450万円)と高い水準を維持できます。

自己資本比率が高い企業は、返済義務のある負債が少ないため「倒産しにくい安全な会社」と見なされ、銀行融資の審査においても有利な評価を受けやすくなるのです。

このように、ファクタリングは単に資金を調達するだけでなく、企業の財務体質を健全化し、外部からの信用力を高めるという、経営戦略上非常に大きなメリットを持っているのです。

メリット2:与信管理・回収業務からの解放

2つ目の意外なメリットは、煩雑で精神的な負担も大きい「与信管理」と「入金管理・回収業務」から解放されることです。

中小企業の経営者様や経理担当者様であれば、売掛金の管理にどれだけの労力がかかるか、身に染みてご存知のことでしょう。請求書の発行、入金予定表の作成、期日通りの入金チェック、そして万が一入金が遅れた際の催促…。これらの業務は、直接的な利益を生むわけではありませんが、会社のキャッシュフローを維持するためには不可欠です。

特に、新規の取引先や、支払いが遅れがちな取引先に対しては、「本当に期日通りに支払われるだろうか」「もし倒産したら…」といった不安が常につきまといます。この精神的なストレスは、経営者の貴重な時間とエネルギーを奪い、本来集中すべき事業成長への意思決定を鈍らせる要因にもなりかねません。

ファクタリング、特に「償還請求権なし(ノンリコース)」の契約は、この問題を根本から解決します。

貸し倒れリスクの完全な移転

ノンリコース契約のファクタリングでは、売掛債権を売却した時点で、その債権が回収不能になるリスク(貸し倒れリスク)はすべてファクタリング会社に移転します。つまり、万が一売掛先が倒産して支払い不能に陥っても、あなたがファクタリング会社から受け取った代金を返す必要は一切ないのです。

これは、単なる資金調達という枠を超えた、一種の「売掛債権保険」としての機能と言えます。審査担当者時代、私は多くの経営者がこのノンリコースの価値を「安心を買うためのコスト」と捉え、戦略的に活用しているのを見てきました。

「審査」を「無料の与信調査」として活用する

さらに、元審査担当者としてぜひお伝えしたい、一歩踏み込んだ活用法があります。それは、ファクタリング会社の審査機能を「無料の与信調査ツール」として利用することです。

新規の取引先と大きな契約を結ぶ際、その会社の支払い能力に不安を感じることはありませんか?そんな時、最初の取引で発生した売掛債権をファクタリングに出してみるのです。私たち審査担当は、日々何百という企業の財務状況を分析する与信のプロです。その私たちが「この売掛債権は買い取れる」と判断した場合、それは「その売掛先は、現時点では支払い能力に問題がない可能性が高い」という専門家のお墨付きを得たことと同義です。逆に、もし複数のファクタリング会社から買取を断られた場合は、その取引先との今後の取引規模を見直す、といったリスク管理が可能になります。

このように、ファクタリングは回収業務のアウトソーシングと貸し倒れリスクのヘッジだけでなく、取引先の信用力を測るリトマス試験紙としても機能します。これにより、経営者は安心してアクセルを踏み、新たなビジネスチャンスに集中することができるのです。

メリット3:取引先との関係強化とサプライチェーンの安定

3つ目のメリットは、一見すると最も意外に思えるかもしれませんが、自社の資金繰り改善が、巡り巡って取引先との関係を強化し、サプライチェーン全体の安定化に貢献するという点です。

ファクタリングは自社のためだけに行うもの、と思われがちです。しかし、企業の経済活動は、自社だけで完結するものではありません。仕入先(買掛先)がいて、販売先(売掛先)がいる。この連鎖の中で、一社の資金繰りの問題は、ドミノ倒しのように他の企業にも影響を及ぼす可能性があります。

仕入先(買掛先)との関係強化

ファクタリングによって早期に資金を手にすることで、自社が抱える買掛金の支払いを滞りなく、あるいはサイト(支払期間)を短縮して行うことが可能になります。これは、仕入先にとって何を意味するでしょうか?

彼らにとっても、売掛金が早期に回収できることは、資金繰りが楽になることを意味します。あなたの会社が「支払いの良い会社」となれば、仕入先からの信頼は厚くなり、

  • より良い条件での取引(価格交渉など)
  • 急な発注への柔軟な対応
  • 優先的な原材料の確保

といった、有利な関係性を築きやすくなります。これは、安定した事業基盤を構築する上で、非常に大きなアドバンテージです。

販売先(売掛先)からの信頼獲得

一方で、あなたの会社から商品やサービスを購入している販売先(売掛先)にとっても、あなたの会社の経営が安定していることは重要です。なぜなら、もしあなたの会社の資金繰りが悪化して倒産でもすれば、彼らは安定的に商品やサービスの供給を受けられなくなってしまうからです。

特に、あなたの会社が提供するものが、彼らの事業にとって重要な部品や専門的なサービスであった場合、その影響は甚大です。したがって、あなたの会社がファクタリングなどを活用して資金繰りを安定させていることは、「この会社は信頼できる、長期的なパートナーだ」という安心感を売掛先に与えることに繋がるのです。

私が審査を担当していた際、3社間ファクタリング(売掛先の承諾を得て行うファクタリング)の交渉の場で、売掛先の経理部長様から「(ファクタリング利用は)全く問題ありません。むしろ、それで御社の経営が安定し、我々への供給が滞らないのであれば、歓迎します」という言葉を直接聞いたことが何度もあります。これは、ファクタリングがサプライチェーン全体に好影響を与えることを示す、何よりの証拠です。

このように、ファクタリングは自社の資金繰りを改善するだけでなく、取引先との良好な関係を築き、事業のエコシステム全体を強くするという、副次的でありながらも極めて重要な経営効果をもたらすのです。

まとめ:ファクタリングを戦略的ツールとして使いこなす

今回は、資金繰り改善という直接的な目的の裏に隠された、ファクタリングがもたらす3つの意外な経営メリットについて解説しました。

メリット具体的な効果なぜメリットなのか?
1. 財務体質の改善・ROA(総資産利益率)の向上
・自己資本比率の改善
負債を増やさずに資産を現金化できるため、貸借対照表がスリム化。収益性・安定性が向上し、金融機関からの信用力が高まる。
2. 与信・回収業務からの解放・貸し倒れリスクの移転
・回収業務・精神的負担の軽減
・与信調査ツールとしての活用
ノンリコース契約により、売掛先の倒産リスクを完全に回避。煩雑な管理業務から解放され、コア業務に集中できる。
3. 取引先との関係強化・仕入先への支払サイト短縮
・販売先への安定供給
・サプライチェーン全体の安定化
自社の資金繰り安定が、取引先の安心と信頼に繋がる。より良い取引条件を引き出し、長期的なパートナーシップを構築できる。

もちろん、ファクタリングには手数料というコストがかかります。しかし、そのコストを支払ってでも、これらの経営メリットを享受する価値がある場面は、決して少なくありません。

緊急時の「守り」の資金調達としてだけでなく、財務体質を強化し、業務を効率化し、取引先との関係を深める「攻め」の経営戦略ツールとして、ファクタリングを捉え直してみてはいかがでしょうか。

「自社の場合は、どのメリットを享受できそうか?」「手数料コストに見合う価値はあるか?」

もしご自身の判断に迷われた際は、ぜひ一度、信頼できるファクタリング会社の担当者に相談してみてください。きっと、あなたの会社の未来を切り拓く、新たな視点が得られるはずです。

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