「急な資金需要でファクタリングを申し込んだのに、審査に落ちてしまった…」
「頼りにしていた資金調達の道が絶たれ、どうすればいいか分からない…」
こんにちは。中小企業専門ファイナンシャルライターの白石 美咲です。かつてファクタリング会社の審査部門でマネージャーをしていた経験から、このような切実なご相談を数多く受けてきました。
資金繰りに奔走する経営者の皆様にとって、ファクタリングの審査落ちは大きな不安材料ですよね。しかし、審査に落ちたからといって、すべての道が閉ざされたわけではありません。原因を正しく理解し、適切な対処法を講じることで、必ず次の打ち手が見つかります。
この記事では、元審査担当者の視点から、ファクタリング審査に落ちてしまう主な7つの原因を徹底的に分析し、今すぐ実行できる具体的な対処法まで、分かりやすく解説していきます。
この記事を読み終える頃には、ご自身の状況を客観的に把握し、次に取るべき行動が明確になっているはずです。ぜひ最後までお付き合いください。
なぜ?ファクタリング審査に落ちる7つの主な原因
ファクタリングの審査は、銀行融資とは全く異なる視点で行われます。融資が「返済能力」を重視するのに対し、ファクタリングは「売掛金が期日通りに支払われるか」という売掛債権の回収可能性を最も重視します。この違いを理解することが、審査落ちの原因を探る第一歩です。
ここでは、数千件の審査に携わった私の経験から、審査に落ちる主な原因を7つに分類して解説します。
原因1:売掛先の信用力に問題がある
最も多いのが、売掛先の信用力に関する問題です。ファクタリング会社にとって、売掛先が倒産してしまっては元も子もありません。そのため、売掛先の経営状況を徹底的に調査します。
| 売掛先に関する主な審査落ち理由 | 具体的な内容 |
|---|---|
| 経営状況の悪化 | 赤字決算が続いている、債務超過である、税金を滞納しているなど、客観的な財務状況が悪い。 |
| 信用の低い業態 | 設立間もない、個人事業主である、過去に金融事故(不渡り、支払い遅延など)を起こしている。 |
| 実態が不透明 | ホームページがない、固定電話がないなど、事業の実態が確認できない「ペーパーカンパニー」の疑いがある。 |
元審査担当者の視点
私が審査を担当していた際も、売掛先の信用力は最優先で確認していました。特に、公式サイトや帝国データバンクなどの企業情報データベースで情報が確認できない場合や、SNSなどで悪い評判が立っている場合は、慎重に判断せざるを得ませんでした。たとえ利用者様の事業が順調でも、売掛先の信用力が低ければ、審査通過は難しくなります。
原因2:売掛債権そのものに問題がある
次に、売却しようとしている売掛債権自体に問題があるケースです。
| 売掛債権に関する主な審査落ち理由 | 具体的な内容 |
|---|---|
| 支払期日が長すぎる | 支払期日までの期間が長いほど、その間に売掛先の経営状況が悪化するリスクが高まります。一般的に、支払期日が2ヶ月を超えると審査が厳しくなる傾向にあります。[1] |
| 譲渡禁止特約が付いている | 売掛先との基本契約書に「債権を第三者に譲渡してはならない」という特約が付いている場合、原則としてファクタリングは利用できません。 |
| 不良債権である | すでに支払いが遅延している、あるいは回収が困難になっている債権は、当然ながら買い取ってもらえません。 |
| 取引実績が乏しい | 売掛先との取引が初めてであったり、取引期間が短かったりすると、その債権が本当に存在するのか、期日通りに支払われるのかを判断するのが難しく、審査で不利になることがあります。[3] |
原因3:利用者(申込者)の信頼性に懸念がある
ファクタリングは売掛先の信用力が第一ですが、利用者(申込者)の信頼性も決して無視されるわけではありません。特に2社間ファクタリングでは、利用者が売掛先から回収した資金をファクタリング会社へ速やかに入金する必要があるため、利用者自身の信頼性が重要になります。
- 不誠実な態度: 審査担当者への横柄な態度や、質問に対する曖昧な回答は、心証を悪くします。
- 情報の不一致: 提出書類の内容と、ヒアリングでの回答に食い違いがあると、何かを隠しているのではないかと疑われます。
- 反社会的勢力との関わり: 当然ですが、反社会的勢力との関わりが疑われる場合は、即座に審査落ちとなります。
- 極端な資金繰りの悪化: 他の金融機関からの借入が過剰であったり、いわゆる「自転車操業」の状態に陥っていたりすると、回収した売掛金を使い込んでしまうリスクが高いと判断され、審査に通りにくくなります。
原因4:必要書類の不備や情報の不足
意外と多いのが、このケースです。審査に必要な書類が揃っていなかったり、記載内容に不備があったりすると、審査プロセスを進めることができません。
【主な必要書類】
- 商業登記簿謄本(法人の場合)
- 印鑑証明書
- 決算書または確定申告書(2〜3期分)
- 売掛先との基本契約書
- 対象となる請求書、発注書、納品書など
- 入金履歴が確認できる通帳のコピー
これらの書類は、売掛債権が正当に存在することを証明するための重要なエビデンスです。不足や不備があれば、ファクタリング会社はリスクを判断できず、審査を中断せざるを得ません。
原因5:二重譲渡や架空債権の疑い
これは、ファクタリングにおける最も悪質なケースであり、犯罪行為にもなり得ます。
- 二重譲渡: 一つの売掛債権を、複数のファクタリング会社に売却して資金を不正に得ようとすることです。これは明確な違法行為であり、発覚すれば刑事告訴の対象となります。
- 架空債権: 実際には存在しない取引を装い、偽の請求書を作成してファクタリングを申し込むことです。これも詐欺行為にあたります。
ファクタリング会社は、債権譲渡登記の確認や、過去の取引履歴との照合などを通じて、これらの不正行為を厳しくチェックしています。疑いを持たれた時点で、審査通過は不可能です。
原因6:個人事業主であること
売掛先、あるいは利用者自身が個人事業主である場合、法人に比べて審査が厳しくなる傾向があります。これは、法人のように登記情報や信用情報機関から客観的な情報を得ることが難しく、事業の継続性や安定性を判断しにくいためです。
しかし、近年では個人事業主やフリーランスに特化したファクタリングサービスも増えています。もし個人事業主であることが理由で審査に落ちたのであれば、そうしたサービスを専門に扱う会社に相談してみるのが良いでしょう。
原因7:ファクタリング会社との相性が悪い
最後に、単純に申し込んだファクタリング会社との相性が合わなかった、という可能性も考えられます。
- 取扱債権の種類: 建設業の請負代金債権は得意だが、IT業界の業務委託料債権は不得意、といったように、ファクタリング会社にはそれぞれ得意な業種や債権の種類があります。
- 買取金額の規模: 少額債権を専門に扱う会社もあれば、数千万円単位の大口債権を専門とする会社もあります。
- 審査方針: 審査が柔軟でスピードを重視する会社もあれば、時間はかかってもリスクを徹底的に排除する慎重な会社もあります。
ご自身の状況と、ファクタリング会社の特性がマッチしていなければ、審査に落ちてしまうことも十分にありえます。一つの会社で断られたからといって諦める必要はありません。
ファクタリング審査に落ちた…今すぐできる4つの対処法
審査に落ちてしまったからといって、落ち込む必要はありません。原因を冷静に分析し、次の行動に移ることが重要です。ここでは、今すぐ実行できる4つの具体的な対処法をご紹介します。
| 対処法 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 1. 別のファクタリング会社に申し込む | 会社によって審査基準が違うため、通過の可能性がある。 | 再度審査に時間がかかる。根本的な原因が解決しないと、また落ちる可能性がある。 |
| 2. 別の売掛債権で申し込む | より信用力の高い債権であれば、同じ会社でも審査に通る可能性がある。 | 適切な売掛債権がない場合は利用できない。 |
| 3. 3社間ファクタリングを検討する | 売掛先の協力が得られるため、手数料が安くなり、審査にも通りやすくなる。 | 売掛先にファクタリングの利用を知られてしまう。承諾を得る手間がかかる。 |
| 4. ファクタリング以外の資金調達を検討する | 自社の状況に合った、より最適な資金調達方法が見つかる可能性がある。 | 融資は審査に時間がかかる。即時の資金化には向かない。 |
対処法1:別のファクタリング会社に申し込む
前述の通り、ファクタリング会社によって審査基準や得意な業種は異なります。1社で断られたとしても、諦めずに別の会社に相談してみましょう。特に、以下のような視点で会社を選び直すことをお勧めします。
- 独立系ファクタリング会社: 銀行系に比べて審査が柔軟な傾向があります。
- 業種特化型ファクタリング会社: ご自身の業種に強みを持つ会社を選びましょう。
- 個人事業主向けファクタリング会社: 個人事業主であることが原因であれば、専門の会社が最適です。
元審査担当者の視点
複数の会社に同時に申し込む「相見積もり」も有効な手段です。ただし、その際は正直に「他社にも相談しています」と伝えるのがマナーです。誠実な対応は、審査担当者からの信頼を得る上でもプラスに働きます。
対処法2:別の売掛債権で申し込む
もし審査に落ちた原因が「売掛債権」にある場合(支払期日が長い、売掛先の信用力が低いなど)、より条件の良い別の売掛債権で同じ会社に再申請することで、審査を通過できる可能性があります。
【より評価されやすい売掛債権の例】
- 売掛先が上場企業や官公庁である
- 取引実績が長く、過去に一度も支払い遅延がない
- 支払期日が1ヶ月以内である
お手元に複数の売掛債権がある場合は、最も信用力の高いものを選んで申し込みましょう。
対処法3:3社間ファクタリングを検討する
これまで2社間ファクタリングで申し込んでいたのであれば、3社間ファクタリングに切り替えることで、審査通過の可能性が大きく高まります。
3社間ファクタリングは、売掛先の承諾を得て、ファクタリング会社が売掛先に直接債権の存在確認を行い、支払いも直接受け取る仕組みです。これにより、ファクタリング会社にとっては「架空債権」や「利用者の使い込み」といったリスクが大幅に低減されるため、審査に通りやすくなり、手数料も低く設定されます。
売掛先にファクタリングの利用を知られてしまうというデメリットはありますが、資金繰りの状況を正直に説明し、協力をお願いできる関係性が構築できているのであれば、非常に有効な選択肢です。
対処法4:ファクタリング以外の資金調達を検討する
ファクタリングはあくまで資金調達の一つの手段に過ぎません。審査に落ちたことをきっかけに、他の方法にも目を向けてみましょう。
- ビジネスローン: ノンバンクなどが提供する事業者向けローン。ファクタリングより金利は低いが、審査はやや厳しくなります。
- 日本政策金融公庫の融資: 国の機関であるため、民間の金融機関よりも低金利で、創業期の事業者にも積極的に融資を行っています。
- 補助金・助成金: 返済不要の資金ですが、公募期間や対象となる経費が限定されています。
- クラウドファンディング: インターネットを通じて不特定多数の人から資金を募る方法です。
それぞれの方法にメリット・デメリットがあります。ご自身の事業計画や必要な資金額、緊急度などを総合的に考慮し、最適な手段を選択することが重要です。
まとめ:審査落ちは終わりではない!原因究明が次の一手につながる
今回は、ファクタリングの審査に落ちてしまう7つの原因と、今すぐできる4つの対処法について、元審査担当者の視点から解説しました。
【審査落ちの7つの原因】
- 売掛先の信用力に問題がある
- 売掛債権そのものに問題がある
- 利用者(申込者)の信頼性に懸念がある
- 必要書類の不備や情報の不足
- 二重譲渡や架空債権の疑い
- 個人事業主であること
- ファクタリング会社との相性が悪い
【今すぐできる4つの対処法】
- 別のファクタリング会社に申し込む
- 別の売掛債権で申し込む
- 3社間ファクタリングを検討する
- ファクタリング以外の資金調達を検討する
大切なのは、審査に落ちたという事実だけで立ち止まってしまうのではなく、「なぜ審査に通らなかったのか?」その原因を冷静に分析することです。原因が分かれば、次に取るべき行動は自ずと見えてきます。
ファクタリング会社は、あなたのビジネスの敵ではありません。健全なパートナーとして、共に成長を目指せる会社も数多く存在します。今回の経験を糧に、ぜひご自身の状況に最適な資金調達の道を見つけ出してください。
この記事が、資金繰りに悩むすべての経営者の皆様にとって、次の一歩を踏み出すための羅針盤となれば幸いです。