【元審査担当が解説】ファクタリングとは?銀行融融資との違いを5分で理解!

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急な支払いの発生で、手元の資金が足りない…。
銀行に融資を申し込んだけど、審査に時間がかかりすぎて間に合いそうにない…。

経営者であれば、一度はこのような資金繰りの悩みに直面したことがあるのではないでしょうか。

「この記事に出会えてよかった」

そう心から思っていただけるよう、今回は「ファクタリング」という資金調達について、どこよりも分かりやすく解説します。

こんにちは。
中小企業専門ファイナンシャルライターの白石美咲と申します。

私は以前、ファクタリング会社で審査部門のマネージャーとして、数千件以上の審査に携わってきました。
その経験から断言できるのは、ファクタリングは、いざという時に経営者を救う非常に有効な選択肢であるということです。

しかし、その一方で仕組みが複雑に思えたり、銀行融資との違いが分からなかったりして、利用をためらっている方が多いのも事実です。

この記事では、そんなあなたのために、

  • ファクタリングの基本的な仕組み
  • 銀行融資との決定的な違い
  • 元審査担当だからこそ分かる、本当のメリットと注意点

これらを、たった5分で理解できるよう、専門用語を一切使わずに解説していきます。
どうぞ最後までお付き合いください。

そもそもファクタリングとは?初心者のための基本講座

結論:ファクタリングは「請求書の前払い」サービスです

ファクタリングとは一体何なのか。
一言でいうと、あなたの会社が持っている「請求書(売掛債権)」を、ファクタリング会社に買い取ってもらうことで、支払期日よりも早く現金化するサービスです。

いわば、「請求書の前払い」のようなものだと考えてください。

「商品を納品したのに、入金は2ヶ月先…」
「大きな案件を受注できたけど、先に支払う材料費が足りない…」

こうした「入金待ち」の期間をなくし、会社のキャッシュフローをスムーズにするのがファクタリングの役割です。
これは商品を担保にお金を借りる「融資」とは全く異なる、売買契約(債権譲渡契約)になります。

登場人物は3者だけ!シンプルな仕組みを図解

ファクタリングの仕組みは、登場人物を整理すると非常にシンプルに理解できます。

  • あなた(利用者):商品を販売・サービスを提供した会社
  • 売掛先:商品・サービスの代金を支払う義務のある会社
  • ファクタリング会社:請求書を買い取ってくれる会社

この3者の間で、お金と請求書(債権)が動くだけです。
とてもシンプルですよね。

「2社間」と「3社間」の違いは?どちらを選ぶべきか

ファクタリングには、大きく分けて「2社間ファクタリング」と「3社間ファクタリング」の2種類があります。
これは、先ほどの登場人物のうち「売掛先」が契約に関わるかどうかで区別されます。

【2社間ファクタリング】
あなたとファクタリング会社の2社だけで契約が完結します。

  • メリット:売掛先に通知されないため、取引関係に影響が出ません。また、手続きがシンプルで、最短即日での資金化が可能です。
  • デメリット:ファクタリング会社にとって、売掛先が本当に存在するかなどの確認が難しくなるため、手数料は高めに設定されています。(相場:8%~20%)

【3社間ファクタリング】
あなた、ファクタリング会社、そして売掛先の3社で契約を結びます。
売掛先に債権を譲渡したことを通知し、承諾を得る必要があります。

  • メリット:売掛先の承諾があるため、ファクタリング会社にとってリスクが低く、手数料が非常に安くなります。(相場:2%~9%)
  • デメリット:売掛先の協力が不可欠であり、資金化までに時間がかかります。また、「資金繰りに困っているのでは?」と売掛先に思われる可能性もゼロではありません。

どちらを選ぶべきか迷ったら、「スピードと秘密保持を優先するなら2社間」「手数料の安さを最優先し、売掛先の協力が得られるなら3社間」と考えると良いでしょう。

【元審査担当が語る】ファクタリングの本当のメリット5選

私は審査担当者として、多くの経営者がファクタリングを活用して危機を乗り越える姿を見てきました。
その経験から、ファクタリングには数字だけでは分からない、経営者にとって大きな価値があると感じています。

① 圧倒的なスピード感!最短即日で資金化できる理由

最大のメリットは、何と言ってもそのスピードです。
銀行融資が数週間から数ヶ月かかるのに対し、ファクタリングは申し込みから最短即日で入金されるケースも珍しくありません。

なぜこんなに速いのか?
それは、審査のポイントが融資と全く違うからです。
この点は次の項目で詳しく解説しますね。

② 赤字決算でもOK!審査で見ているのは「あなたの会社」ではありません

「うちは赤字だから、審査なんて通らない…」
そう思っている経営者の方にこそ、知っていただきたい事実があります。

ファクタリングの審査で最も重視されるのは、あなたの会社の財務状況ではなく、請求書の支払元である「売掛先の信用力」です。

極端な話、あなたの会社が赤字決算であろうと、税金を滞納していようと、売掛先がきちんと期日通りに支払ってくれる優良企業であれば、審査に通る可能性は十分にあります。
これが、銀行融資との決定的な違いです。

③ 担保・保証人は原則不要!経営者の個人資産を守る選択肢

銀行融資では、代表者が個人保証を求められるケースがほとんどです。
これは、万が一会社が倒産した場合、経営者個人が会社の借金を背負うことを意味します。

一方、ファクタリングはあくまで請求書の売買契約です。
そのため、担保や経営者個人の保証人は原則として必要ありません。

会社の資金調達のために、経営者個人の人生までリスクに晒す必要はないのです。

④ 信用情報に影響なし!将来の銀行融資に響かない資金調達

ファクタリングは借入ではないため、利用した事実が信用情報機関に登録されることはありません。

「今は緊急で資金が必要だけど、将来的には銀行から大規模な設備投資の融資を受けたい」

このような場合でも、ファクタリングの利用が将来の融資審査で不利に働くことはありません。
あくまで「つなぎ資金」として、スポットで活用できる柔軟性も大きな魅力です。

⑤ 貸し倒れリスクを移転できる!「償還請求権なし」の重要性

もし、請求書を現金化した後に、売掛先が倒産してしまったら…?
考えたくない事態ですが、ビジネスに絶対はありません。

ここで重要になるのが「償還請求権(しょうかんせいきゅうけん)」という言葉です。

日本のファクタリング契約のほとんどは「償還請求権なし(ノンリコース)」です。
これは、万が一売掛先が倒産しても、あなたがファクタリング会社にお金を返す義務はない、ということを意味します。

つまり、請求書を買い取ってもらった時点で、貸し倒れのリスクはファクタリング会社に移転するのです。
これは経営者にとって、非常に大きな安心材料と言えるでしょう。

必ず知っておくべきデメリットと注意点【正直にお伝えします】

ここまでメリットを中心にお伝えしてきましたが、元審査担当として、良いことばかりをお話しするつもりはありません。
利用してから後悔しないために、デメリットや注意点もしっかりと理解しておきましょう。

① 手数料は銀行融資より割高になる

ファクタリングの最大のデメリットは、手数料が銀行融資の金利よりも割高であることです。
スピードや貸し倒れリスクをファクタリング会社が負担する分、コストが高くなるのは避けられません。

そのため、恒常的な資金調達手段として利用し続けると、経営を圧迫する可能性があります。
あくまで「短期的なつなぎ資金」として、計画的に利用することが重要です。

② 調達できるのは「請求書の金額内」だけ

ファクタリングは、あなたが持っている請求書の金額以上のお金を調達することはできません。
あくまで、すでにある売上を早期に現金化する手段です。

事業の拡大を目指して、売上以上の大きな資金が必要な場合は、銀行融資など他の選択肢を検討する必要があります。

③ 要注意!悪質なファクタリング業者の見分け方

残念ながら、ファクタリング業界には、法律を無視した悪質な業者が存在するのも事実です。
私が審査部門にいた頃も、そうした業者を利用してトラブルになったという話を聞いたことがあります。

以下のような特徴を持つ業者には、絶対に近づかないでください。

  • 手数料が法外に高い(年利換算すると貸金業法の上限金利を超える)
  • 契約書の内容が不明瞭で、控えを渡さない
  • 審査が異常に甘い(「審査なし」「100%買取」などを謳う)
  • 償還請求権”あり”の契約を求めてくる
  • 担保や保証人を要求してくる

これらは、ファクタリングを装った実質的な「ヤミ金」である可能性が非常に高いです。
大切な会社を守るためにも、必ず信頼できる会社を選ぶようにしてください。

【一覧表で徹底比較】ファクタリングと銀行融資、決定的な5つの違い

ここまで解説してきた内容を、銀行融資と比較する形で表にまとめてみました。
これを見れば、両者の違いが一目瞭然になるはずです。

比較項目ファクタリング銀行融資
審査の主役売掛先の信用力あなたの会社の信用力
スピード最短即日〜数日数週間〜数ヶ月
コスト手数料(割高)金利(割安)
信用情報への影響影響なし借入として記録される
会計上の扱い資産の売却負債の増加

このように、ファクタリングと銀行融資は、全く性質の異なる資金調達方法です。
どちらが良い・悪いということではなく、会社の状況や目的に合わせて使い分けることが最も賢い選択と言えます。

こんな時はファクタリングが最適!具体的な活用シーン3選

では、具体的にどのような場面でファクタリングが力を発揮するのでしょうか。
私がこれまで見てきた中から、代表的な3つのケースをご紹介します。

ケース1:急な大型受注で、仕入資金がすぐに必要になった

かねてから狙っていた大手企業から、突然、大型の案件を受注できた!
これは会社にとって大きなチャンスですが、同時に、先に材料を仕入れたり、外注先に支払ったりするためのお金が急に必要になります。
しかし、納品後の入金は数ヶ月先…。

こんな時こそ、ファクタリングの出番です。
他の取引で発生している請求書を現金化することで、目の前のチャンスを逃すことなく、事業を拡大できます。

ケース2:銀行融資の審査結果を待っていられない

来週、従業員の給与と社会保険料の支払いがある。
メインバンクに融資を申し込んでいるが、審査の回答が間に合いそうにない…。

資金繰りには、1日、2日を争う場面があります。
銀行融資の回答を待っている間に資金がショートしてしまっては、元も子もありません。
ファクタリングで当座をしのぎ、銀行融資が下りたら、そちらで返済するという使い方も有効です。

ケース3:創業期や赤字で、融資の審査に通りにくい

創業して間もない時期は、事業の実績が少ないため銀行融資のハードルは非常に高くなります。
また、事業の立て直し中で赤字決算が続いている場合も同様です。

しかし、前述の通り、ファクタリングはあなたの会社の状況よりも「売掛先」を重視します。
たとえ創業期や赤字であっても、信頼できる取引先からの請求書があれば、資金調達の道は閉ざされません。

まとめ

最後に、この記事の最も重要なポイントを振り返りましょう。

  • ファクタリングは「請求書の前払い」サービスであり、借金ではない。
  • 審査では自社の状況より「売掛先の信用力」が重視される。
  • 最大のメリットは「スピード」、デメリットは「手数料の高さ」。
  • 銀行融資とは性質が全く異なるため、状況に応じた使い分けが重要。

ファクタリングは、いざという時のための「お守り」のような存在です。
この選択肢を知っているかどうかで、会社の未来が大きく変わることもあります。

もちろん、ファクタリングが万能なわけではありません。
大切なのは、あなたの会社の状況を正しく把握し、銀行融資や他の方法も含めた中から、最適な一手を選択することです。

この記事が、資金繰りに悩むすべての経営者の皆様にとって、次の一歩を踏み出すための力になれば、これほど嬉しいことはありません。

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